トレセンの推薦は誰が出すのか|公表されている選考手順と、親が聞いていい一問
「トレセンに行くには、チームの推薦がいるらしい」。そう耳にしたことはあっても、トレセンの推薦を誰がどう出しているのかを説明できる人は多くありません。チームの監督なのか、地区の担当者なのか、そもそも推薦という形なのか。情報が少ないぶん、保護者どうしの会話では憶測も広がりやすいところです。
この記事では、JFAが公表している資料で確認できることと、公表されていないことを分けて整理します。そのうえで、わが子が選ばれない理由を想像して悩むのではなく、家庭として何を確かめればよいのかを考えます。
この記事で書いていることを、お子さんの状況に当てはめて聞くこともできます。LINEでは代表の桂陸人が直接お答えしています。
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なお、選考の基準そのものについてはトレセンの選考基準で整理しています。今回は「誰が、どの順番で関わるのか」に絞ります。
トレセンの推薦について、公表されていること
ナショナルトレセンU-14の要項に書かれていること
いちばん上の階層については、JFAの要項に手順が書かれています。ナショナルトレセンU-14 2025年の概要には、選手選考について「選考は各地域担当のトレセンスタッフと協議の上、最終的にはJFAコーチにて決定する」とあります。
ここから読み取れることは二つあります。
一つは、一人の指導者の一存で決まる形にはなっていないことです。地域の担当スタッフと協議し、最後にJFAコーチが決めるという手順が示されています。
もう一つは、選考の基準として「選手の潜在的な力、将来性、個性等を重視」すると書かれていることです。今この時点の完成度や、チームの成績だけを並べて決めるという書き方ではありません。
GKには別の書き方がある
同じ要項には、GKについて「原則として各地域から推薦された選手をふまえ」、GKプロジェクトで選考すると書かれています。「推薦」という言葉がはっきり使われているのはこの部分です。
フィールドプレーヤーとGKで手順の書き方が異なるのは、それだけGKの見極めに専門性が求められるからだと考えられます。GKのお子さんの場合、ふだん誰に見てもらっているかという点は、フィールドの選手以上に気にしておいてよいところです。
下の階層の手順は、地域によって違う
一方で、地区トレセンや都道府県トレセンの選考は、全国共通の手順として細かく公表されているわけではありません。チームごとの推薦枠がある地域もあれば、選考会を開く地域もあるといった違いがあり、学年によっても扱いが変わることがあります。
つまり、保護者がいちばん知りたい「うちの地区では、誰が、どう決めているのか」は、全国共通の答えがありません。インターネットで探しても、他の地域の話が混ざって見つかるだけ、ということが起こります。
入口は、いちばん下の階層にある
上の階層は、下の階層から選ばれていく
JFAのトレセン認定制度のページには、認定の基準として「上位トレセン(ブロック/地区<都道府県<地域<ナショナル)へ選手が選考される仕組みがあること」と書かれています。
この一文が示しているのは、トレセンが下から上へ積み上がる構造だということです。ナショナルの選考を考える前に、まず地区でどう見られているかが先に来ます。U-14の要項でも、対象の条件に「日常的にトレセンで活動している者」が挙げられています。
いちばん下の入口で何が見られているのかは、地区トレセンに選ばれるにはで詳しく書いています。
関わるのは、日常を見ている指導者
同じ認定基準には「認定された指導者(チーフコーチ及びコーチ・GKコーチ)が選手選考に関わり、直接指導していること」ともあります。
選考に関わる人が、実際にその場で選手を指導している。これは認定の基準として書かれたものですが、見方を変えると、トレセンの選考が書類や評判だけで動くものではなく、指導者の目で見られるものだということでもあります。
そして地区の入口では、地域のチームの指導者がトレセンの運営に関わっていることも少なくありません。ふだんの試合や練習でどんなプレーをしているかが、入口の評価と地続きになりやすい理由がここにあります。
枠が狭いのは、人数の基準があるから
認定基準には、選手数と指導者数についても書かれています。U-12は選手10名に対して指導者1名以上、U-14は選手16名に対して指導者1名以上に加えてGKコーチ1名が必須です。
一人の指導者がきちんと見られる人数には限りがある、という前提で制度が作られていることがわかります。枠を増やすには指導者も増やさなければならず、希望者全員を入れるわけにはいきません。
「なぜうちの子は入れないのか」と感じるとき、その背景には、誰かの好き嫌いではなく、こうした人数の制約があります。強いチームの主力が必ずしも選ばれない理由については、強豪チームなのにトレセンに呼ばれないも参考にしてください。
「推薦してもらえない」と感じたときの分け方
原因は二つに分けられる
ここからは、公表資料ではなく私たちの考え方です。
推薦されていないと感じるとき、原因は大きく二つに分けられます。
一つは、評価としてまだ届いていない場合です。この場合に必要なのは、トレセンの仕組みを調べることではなく、ふだんのプレーを伸ばすことです。
もう一つは、そもそも自分のチームや地区で、トレセンがどう扱われているのかを知らない場合です。推薦の時期が過ぎていただけだった、学年によって選び方が違った、チームとして別の考え方を持っていた、ということもありえます。
後者は、聞けば解消できます。評価の問題だと思い込んで親子で悩む前に、まず仕組みを確かめる価値があります。
親が聞いていい一問
聞き方には注意が必要です。
「なぜうちの子は推薦されないんですか」と聞くと、評価への異議申し立てとして受け取られやすく、指導者も身構えます。保護者にそのつもりがなくても、です。
聞くなら、制度についての質問にします。
「トレセンの推薦は、いつ頃、どういう形で決まるものなんですか」
これは評価を問う質問ではなく、仕組みを教えてもらう質問です。お子さん個人の話を持ち出す必要もありません。この一問で、時期、決まり方、チームとしての関わり方がわかれば、家庭が持っていなかった情報のかなりの部分が埋まります。
聞く場所とタイミング
試合の直後や、周りに他の保護者がいる場は避けたほうがよいでしょう。結果が出た直後に聞くと、どうしても「なぜ落ちたのか」という話に聞こえてしまいます。
選考の時期から離れた、落ち着いたタイミングがおすすめです。年度の初めや、チームの保護者会のあとなど、全体の予定を確認する流れの中でなら、聞きやすくなります。
聞いた答えを、どう使うか
時期がわかれば、焦りが減る
推薦や選考の時期がわかると、家庭の過ごし方も変わります。いつ頃に決まるのかを知らないと、毎週のように「まだ声がかからない」と気にし続けることになります。時期がわかっていれば、それまでの期間は目の前の練習や試合に集中すればよいと割り切れます。
チームの考え方がわかれば、比べずにすむ
チームによっては、学年全体の育成を優先している、トレセンへの関わり方を決めていないなど、それぞれの考えがあります。それを知らないまま他のチームと比べると、不満だけが大きくなりがちです。チームの方針がわかれば、自分のチームの中で何を伸ばすかに目を向けやすくなります。
納得できない答えが返ってきたとき
答えが期待と違うこともあるでしょう。その場で反論したり、別の保護者に広めたりするのは避けたいところです。一度持ち帰り、お子さんの成長にとって今の環境が合っているかという、より大きな問いの中で考えることをおすすめします。
家庭で気をつけたいこと
子どもの前で推薦の話をしない
親どうしの「あの子は推薦された」「あのチームは枠が多い」といった話は、子どもの耳に入ります。すると子どもの関心は、自分のプレーではなく、大人の事情のほうへ向いてしまいます。
推薦の仕組みを調べるのは親の役割として、子どもに渡すのは「今、何を練習するか」という話だけで十分です。
肩書きを目標にしない
トレセンは、優秀な選手の発掘と育成の場であると同時に、指導者のレベルアップの場でもあります。選ばれることは一つの機会ですが、選ばれなかったからといって、成長の機会がなくなるわけではありません。
また、トレセンは一度の結果で固定されるものでもありません。年度ごとに見直される点については、トレセンは年度ごとに見直されるで書いています。
伸ばす相手は「推薦する人」ではない
指導者に気に入られようとして、見てほしいプレーばかりをする子が出てくることがあります。しかし要項が重視すると書いているのは、潜在的な力、将来性、個性です。誰かの目を気にしたプレーからは、そうしたものは見えにくくなります。
チームの中で、自分の判断でプレーできているか。ミスのあとに次のプレーへ移れているか。家庭で見守りたいのは、推薦されるかどうかより、こうした日常の部分です。
まとめ
トレセンの推薦について、公表されているのは一部です。ナショナルトレセンU-14では、各地域担当のトレセンスタッフと協議のうえ、最終的にJFAコーチが決定するとされています。一方、地区や都道府県の入口の手順は地域によって異なり、全国共通の答えはありません。
トレセンは下の階層から上へ選考される構造なので、実際の入口は、日常的に子どもを見ている指導者の近くにあります。枠が狭いのは、選手数と指導者数の基準があるためでもあります。
家庭ができるのは、評価を問いただすことではなく、仕組みを聞いておくことです。「トレセンの推薦は、いつ頃、どういう形で決まるものなんですか」。この一問で、憶測に使っていた時間を、お子さんの日々の練習を支える時間に変えられます。
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ここまでは一般論です。お子さんのことは、直接お聞きください
記事に書けるのは、どのチームにも当てはまる話までです。実際に何が足りていて何が足りないのかは、お子さん一人ひとり違います。
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