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COLUMN

サッカーの指導者への不満をどう扱うか|親が言う前に整理すること

夕方のグラウンドで少年サッカーの練習を椅子に座って見守る保護者の後ろ姿

「うちの子だけ試合に出してもらえない」「練習の内容に納得がいかない」「あの言い方はどうなのか」。サッカーを続けていると、指導者への不満を感じる場面は、どのチームでも起こりえます。

不満を持つこと自体は、悪いことではありません。わが子のことを真剣に考えているからこそ、気になるのだと思います。問題は、その不満をどこへ向けるかです。向ける先を間違えると、状況が変わらないどころか、お子さんの立場や気持ちを苦しくしてしまうこともあります。

この記事で書いていることを、お子さんの状況に当てはめて聞くこともできます。LINEでは代表の桂陸人が直接お答えしています。
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この記事では、指導者への不満を感じたときに、親が言う前に整理しておきたいことをまとめます。あわせて、不満の話とは分けて扱うべき、安全に関わる場合の考え方も説明します。



いちばん影響が大きいのは、家の中で言うこと


子どもの前で口にすると、問題が外側に固定される

意外に思われるかもしれませんが、指導者への不満でいちばん影響が大きいのは、チームに伝えることではなく、家の中で言うことです。

試合に出られず落ち込んでいる子に、「あのコーチは見る目がない」と声をかける。親としては、わが子を慰めたい一心の言葉でしょう。その瞬間、子どもは少し楽になるかもしれません。

しかしこの言葉は、問題を自分の外側に置いてしまいます。原因が指導者にあるなら、子どもが自分でできることはなくなります。次の練習で何を変えるかを考える理由もなくなってしまいます。


子どもが指導者を信じられなくなる

もう一つの影響は、子どもとチームの関係です。親が指導者を否定していると、子どもは練習で言われたことを素直に受け取りにくくなります。

指導者から修正を求められても、「でもお父さんはあの人はわかってないと言っていた」という気持ちが残る。これでは、せっかくの助言が子どもの中に入っていきません。指導者を信じられない環境で週に何度も練習するのは、子どもにとって苦しいことです。

子どもの前で審判や相手チームを批判することと同じで、親の言葉は思っている以上に、子どものサッカーの見方を形作ります。


親の気持ちは、別の場所で出す

不満を飲み込み続ける必要はありません。夫婦の間や、チームの外の信頼できる人に話すなど、子どもの耳に入らないところで吐き出してかまいません。

親自身が疲れている場合は、サッカー親、もう疲れた…と思ったらも読んでみてください。



事実と解釈を分けてみる


紙に書き出してみる

指導者に伝えるかどうかを決める前に、一度、事実と解釈を分けてみてください。頭の中だけで考えると、この二つは簡単に混ざります。

事実とは、誰が見ても同じものです。たとえば、直近の5試合の出場時間、練習で言われた具体的な言葉、同じポジションの子の起用などです。

解釈とは、そこから親が考えたことです。「嫌われている」「見てもらえていない」「えこひいきしている」といったものがこれに当たります。


解釈は、確かめるまで事実ではない

分けてみると、「嫌われている」という確信の根拠が、出場時間の短さだけだった、と気づくことがあります。起用には、ポジションのバランス、対戦相手、育てたい課題など、外からは見えない理由があるかもしれません。

もちろん、理由が納得できるものだとは限りません。ただ、解釈のまま指導者にぶつけると、話は感情のやり取りになってしまいます。伝える価値があるのは、事実のほうです。


子ども本人はどう感じているか

親の不満と、子どもの不満は同じとは限りません。親が怒っているのに、本人は「今はベンチでも仕方ない」と受け止めていることもあります。逆に、親には何も言わずに苦しんでいることもあります。

親が動く前に、「最近のサッカーはどう?」と聞いてみてください。誘導せず、まず本人の言葉を聞くことが先です。

本人が「このまま頑張りたい」と話しているなら、親が動くことがかえって重荷になる場合もあります。何を望んでいるのかがわかれば、親が動くべきなのか、見守るべきなのかも見えてきます。親の気持ちを本人の気持ちと取り違えないよう、一度立ち止まることが大切です。



伝えるなら、質問の形にする


異議申し立てではなく、指導の依頼にする

事実を整理したうえで、それでも伝えたいと思ったら、形を考えます。

「なぜうちの子を使ってくれないんですか」は、起用への異議申し立てとして受け取られます。相手は身構え、説明や弁明が中心の会話になりがちです。

「今、何を伸ばせばいいですか」なら、指導の依頼になります。同じ場面でも、返ってくる言葉は変わってくるはずです。起用の理由は、この質問の答えの中に含まれていることも少なくありません。

聞き方の具体例は、セレクションに落ちた理由を、指導者にどう聞くかでも解説しています。場面は違いますが、考え方は同じです。


可能なら、本人に聞かせる

この質問は、年齢的にできるなら、子ども本人にさせるのがおすすめです。親が代わりに聞いた答えは、子どもの中に残りにくいものです。

自分で指導者のところへ行き、「何を伸ばせばいいですか」と聞く。その経験自体が、子どもの力になります。緊張するようなら、言う内容を家で一緒に考えて、行くのは本人に任せる形でもよいでしょう。


親が話すときの場所と時間

親が話す必要があるときは、試合の直後や、グラウンドで他の保護者がいる場は避けます。チームのルールに沿って連絡を取り、落ち着いて話せる時間を作ってもらいましょう。

その場で答えや変化を求めすぎないことも大切です。一度の話し合いですべてを解決しようとせず、まずは指導者の考えを聞く場と考えると、話しやすくなります。



指導者への不満を、保護者どうしで広げない


共感が、不満を大きくすることがある

同じように感じている保護者がいると、話したくなるものです。悩みを聞いてもらえるだけで救われることもあるでしょう。

ただ、送迎の車の中や保護者のグループで指導者の話を重ねていくと、不満はだんだん大きくなり、事実よりも空気で語られるようになります。一度できあがった空気は、チーム全体に影響し、子どもたちにも伝わっていきます。


集団で伝える前に考えたいこと

複数の保護者でまとまって指導者に申し入れをすると、相手には強い圧力として受け取られることがあります。チームの運営上どうしても話し合いが必要な問題であれば、代表者や保護者会など、チームで決められた場を通すほうがよいでしょう。

自分の子どもの起用に関する話を、全体の問題であるかのように持ち込んでいないか。一度立ち止まって考えてみることも大切です。


指導者も、一人の人間である

少年サッカーの現場では、指導者が限られた時間の中でチームを見ていることも少なくありません。すべての判断に納得できるとは限りませんが、相手には相手の見えているものがあります。

感謝を伝えることと、疑問を持つことは両立します。ふだんから挨拶や短い会話を重ねておくと、いざ話したいことができたときにも、落ち着いて話しやすくなります。



安全に関わることは、別の話


指導方針の話ではないもの

ここまでの話は、起用や練習内容についての不満を想定しています。これとははっきり分けて考えなければならないものがあります。

殴る、蹴るといった行為、人格を否定する言動、脅すような言葉、体調不良を訴えているのに続行させること。これらは指導方針の違いではありません。「事実と解釈を分ける」「質問の形にする」といった配慮より先に、子どもの安全を優先してください。


相談する窓口がある

まず、チームの運営側や地域のサッカー協会など、適切な窓口に相談することを考えましょう。

JFAは暴力等根絶相談窓口を設けています。協会に登録しているチームの活動現場で生じた暴力行為(直接的暴力、暴言、脅迫及び威圧等)に関する通報を受け付ける窓口で、利用できるのは、原則として被害を受けた人やその家族、関係者などです。

一方で、「指導者と保護者間のトラブル」は対象外の例として挙げられています。起用への不満を相談する場所ではなく、暴力行為のための窓口だということです。利用の前に、ページの説明を確認してください。

子どもの安全に関わることで、遠慮する必要はありません。日時や言われた言葉などの事実を記録しておくと、相談するときに役立ちます。



合わないときの、もう一つの選択


場所を変えるという選択肢

ここからは私たちの考えです。

指導者を変えることはできませんが、子どもがいる場所を変えることはできます。事実を整理し、質問をしたうえで、それでも本人が苦しい、成長できる環境ではないと感じるなら、移籍を考えることは逃げではありません。

ただし順番として、先に「何を伸ばせばいいか」を聞いてください。理由を知らないまま場所を変えると、同じことが次のチームでも起こるかもしれません。

また、決めるのは親だけではなく、本人と一緒にです。「辞めたい」という言葉が出たときの受け止め方は、「サッカーやめたい」と言われたらで書いています。



まとめ

指導者への不満は、どのチームでも生まれます。いちばん気をつけたいのは、子どもの前で口にしないことです。問題を外側に固定すると、子どもが自分でできることがなくなってしまいます。

伝える前に、事実と解釈を分ける。本人の気持ちを聞く。伝えるなら「今、何を伸ばせばいいですか」という質問の形にして、できれば本人に聞かせる。この順番で考えると、不満は次の一歩につながる材料になります。

ただし、暴力や暴言など安全に関わることは別です。指導方針の問題として抱え込まず、チームの運営側や地域の協会、JFAの窓口など、適切なところに相談してください。


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