セレクションに受かる子の親がしていること|「やらせる親」より「任せる親」が子どもを強くする理由
セレクションが近づくと、親のほうが落ち着かなくなるものです。練習は足りているか、何か家でやらせたほうがいいのではないか、当日は何と声をかければいいのか。「受かる子の親は、何をしているのだろう」と調べたくなる気持ちは、とても自然なことだと思います。
先にお伝えしておくと、親が何かをすれば合格が決まる、という方法はありません。合否を決めるのはクラブであり、ピッチに立つのは子ども本人です。それでも、準備の期間や当日、結果を待つ時間の親の関わり方は、子どもが自分の力を出し切れるかどうかに少なからず影響します。
この記事で書いていることを、お子さんの状況に当てはめて聞くこともできます。LINEでは代表の桂陸人が直接お答えしています。
LINEで質問を送ってみる →
この記事では、セレクションという場面に絞って、親の関わり方を「やらせる」と「任せる」という2つの方向から整理します。当日に見られるポイントについては、「サッカーのセレクションに受かる子の特徴|見られるポイントと家庭の準備」もあわせてご覧ください。当日までの1年で何が差になるのかは、「セレクションに受かる子と落ちる子の違い|当日の数時間ではなく、それまでの1年で差がつくもの」で整理しています。
「やらせる親」と「任せる親」の違い
ここでいう「やらせる親」とは、練習メニューや受けるクラブ、当日の振る舞い方まで、親が決めて子どもに実行させる関わり方のことです。熱心で、子どものことを真剣に考えているからこそ、こうなりやすいとも言えます。
一方の「任せる親」は、何もしない親ではありません。決めるのは子ども本人、環境を整えるのは親、という役割分担をはっきりさせている親のことです。練習の中身や目標は本人が考え、親は送迎や食事、情報集め、話を聞く時間をつくることで支えます。
セレクションの会場では、親はピッチに入れません。コーチの指示を聞き、自分で判断し、ミスのあとに立て直すのは、すべて子ども一人です。だからこそ、準備の段階から「自分で決めて動く」経験をどれだけ積んでいるかが、当日の強さにつながっていくと私たちは考えています。
準備期間に、任せる親がしていること
受けるクラブを、子どもと一緒に調べる
どのクラブのセレクションを受けるかは、親が決めてしまいがちなところです。もちろん、通える距離や費用、日程など、親が判断すべき条件もあります。ただ、その条件の中でどこを受けたいかは、できるだけ本人に考えてもらうのがおすすめです。
クラブのホームページや試合を一緒に見て、「どんなサッカーをしているチームだと思う?」「ここでやりたい理由は何?」と聞いてみてください。自分で選んだクラブだと思えると、準備への向き合い方が変わります。結果がどうであっても、「自分で選んで挑戦した」という経験が残ります。
練習メニューを組むより、本人の計画を聞く
セレクションまでの練習を、親が細かく決めてしまうケースは少なくありません。しかし、親が決めたメニューは、子どもにとって「やらされる練習」になりやすく、目的も本人の中に残りにくくなります。
代わりに、「セレクションまでに何を伸ばしたい?」「そのために今週は何をする?」と聞いてみてください。答えが曖昧でも構いません。親は答えを出すのではなく、質問で本人の考えを引き出す役に回ります。計画が甘ければ、1週間後に「やってみてどうだった?」と聞けば、本人が自分で修正するきっかけになります。
続いているかどうかを見る
準備期間に親が見るべきなのは、上手くなったかどうかより、決めたことが続いているかどうかです。技術の伸びは目に見えにくく、短い期間では変化がわからないこともあります。一方で、続いているかどうかは親でも確認できます。
続いていれば、それを具体的に認めます。「今週も毎朝走っていたね」のように、事実をそのまま伝えるだけで十分です。続いていなければ、責めるのではなく「何があったら続けやすい?」と一緒に考えます。
他の子の情報を、家の中に持ち込みすぎない
セレクションの時期は、保護者同士で「〇〇くんは△△を受けるらしい」「あの子はもう推薦が決まったみたい」といった話が耳に入りやすくなります。気になるのは当然ですが、こうした情報を家で何度も話題にすると、子どもは自分の準備より周りとの比較に気持ちが向いてしまいます。
親が他の子の話を聞いても、子どもの前では「あなたは、あなたの準備をすればいい」という姿勢を保つことが、子どもを落ち着かせます。
前日と当日に、任せる親がしていること
持ち物の準備は本人に任せ、確認は一度だけ
前日の持ち物の準備は、本人にやってもらいます。親が全部そろえてしまうと、当日に何がどこにあるか本人がわからず、会場で慌てる原因になります。親は最後に一度だけ、募集要項に書かれた必要書類などを一緒に確認すれば十分です。
送り出すときの言葉は短く
当日の朝や会場の入口で、あれこれアドバイスをしたくなる気持ちはわかります。しかし、直前に情報を増やすと、子どもはかえって考えすぎてしまいます。「いってらっしゃい、楽しんできて」「いつもどおりでいいよ」くらいの短い言葉で送り出すのがよいでしょう。
見学できる場合も、親は目立たない位置で
保護者の見学ができるかどうかはクラブによって違います。見学できる場合でも、ピッチの近くで声を出したり、子どもと何度も目を合わせようとしたりするのは控えたほうが無難です。子どもが親の反応を気にし始めると、プレーに集中しにくくなります。
帰り道は、講評より「どうだった?」
セレクションが終わった帰り道は、親が一番話したくなる時間です。ただ、ここで「あの場面はこうすべきだった」と講評を始めると、子どもはその日の挑戦を「評価された出来事」として受け取ってしまいます。
まずは「お疲れさま」と伝え、本人が話したくなったら「どうだった?」と聞く程度にとどめます。話したがらなければ、その日は無理に聞かなくても構いません。振り返りは、少し時間を置いてからのほうが落ち着いてできます。
結果を待つ期間に、任せる親がしていること
親が先に落ち着いている
結果を待つ期間は、子ども以上に親が落ち着かないことがあります。何度もメールを確認したり、「どうだったと思う?」と繰り返し聞いたりすると、その不安は子どもにも伝わります。親が普段どおりに過ごしていることが、子どもにとって一番の安心材料になります。結果がいつ・どのように届くのかは、「セレクションの結果発表はいつ・どう届くのか|待つ期間に家庭がやること」で詳しく書いています。
「受かったら」「落ちたら」の約束をしない
「受かったら〇〇を買ってあげる」「落ちたら△△しなさい」といった約束は、結果だけに価値があるというメッセージになりやすいものです。結果に関係なく、挑戦したこと自体を認める姿勢を保っておくと、どちらの結果が届いても子どもと話がしやすくなります。
練習の予定は、いつもどおりに
結果待ちの期間も、チームの練習や自主練は普段どおりに続けます。結果がどうであっても、サッカーは続いていきます。この期間を「止まって待つ時間」にしないことが、次の一歩を踏み出しやすくします。
任せることが、子どもを強くする理由
任せる関わり方が大切なのは、セレクションが「本人にしか戦えない場」だからです。自分で選んだクラブ、自分で立てた計画、自分で続けてきた練習。そうした経験があると、会場で緊張しても「自分はこれをやってきた」と思える拠り所があります。
また、自分で決めたことは、うまくいかなかったときにも自分で振り返ることができます。親が決めたことだと、失敗の原因が「親の決め方」になってしまい、本人の学びにつながりにくくなります。
さらに、セレクションに受かったあとも、入団したチームでは毎日のように自分で判断する場面が続きます。練習の課題を自分で見つけ、コーチの言葉を自分で消化し、試合に出られない時期も自分で気持ちを立て直す。セレクションの準備期間に「任されて動く」経験を積んでおくことは、合格したあとの数年間を支える力にもなります。落ちた場合も同じで、自分で決めて挑戦した経験があれば、次の進路を考えるときにも本人が主語のまま話を進めやすくなります。
WiRM代表の桂陸人は、小学6年生のとき、どうしてもサンフレッチェ広島のジュニアユースに行きたいという気持ちから、4月から夜の公園で基礎技術を磨き、朝は走る日々を送りました。その練習には親が付き合ってくれたと、自身のコラムで振り返っています。行きたいと決めたのは本人で、親はその挑戦に付き合う側だった。任せることと支えることは、両立するものだと思います。
任せすぎないための線引き
任せるといっても、すべてを子どもに委ねるわけではありません。体調や安全に関わること、費用や家族の予定に関わること、申し込みの期限など、子どもだけでは判断できないことは親が責任を持ちます。
線引きの目安は、「本人が決めたほうが本人のためになるか」です。練習の中身や目標は本人に、生活や手続きの土台は親に。この分担がはっきりしていると、親も口を出しすぎずに済み、子どもも安心して自分のことに集中できます。
どこまで任せるか迷ったときは、JFA(日本サッカー協会)が選手育成で掲げる「Players First!(プレーヤーを第一に考える)」、つまり子どもたちにとって何が一番良いのかという基準に立ち返るのも一つの方法です(選手育成のコンセプト(JFA))。
家庭だけで「任せる関わり方」を続けるのが難しいときの選択肢
任せたほうがいいとわかっていても、親子だとつい口を出してしまうものです。子どもが何も考えていないように見えると、親が答えを言いたくなるのは当然のことです。
WiRMの「じりつLABO」では、言語化力・自発力・習慣化力・修正力・逆算力の5つの力をLv.1〜6で見える化し、月ごとの目標から毎日のTodoに落とし込む流れを、週1回のオンラインセッションと週ごとのフィードバックで支えています。子どもが自分で考えて決める部分はコーチとのやり取りの中で進め、保護者の方とは月1回の面談で状況を共有します。親が「任せる側」に回りやすくなる仕組みとして、選択肢のひとつにしていただければと思います。
まとめ
・親が何かをすれば合格が決まる方法はない。ただ、準備・当日・結果待ちの関わり方は、子どもが力を出し切れるかどうかに影響する
・「任せる親」は何もしない親ではなく、決めるのは子ども、環境を整えるのは親という役割分担をしている
・準備期間は、クラブ選びや練習計画を本人に考えてもらい、親は続いているかを見る
・当日は持ち物を本人に任せ、送り出しは短く、帰り道は講評より「お疲れさま」
・結果待ちの期間は、親が先に落ち着き、練習はいつもどおりに続ける
お子さんの「今」を数値で見える化し、成長に伴走します
お子さんの状態を数値で見える化し、心と技術の両面から成長に伴走します。まずはどんなサービスか、のぞいてみてください。
サービス紹介ページへ移動します
ここまでは一般論です。お子さんのことは、直接お聞きください
記事に書けるのは、どのチームにも当てはまる話までです。実際に何が足りていて何が足りないのかは、お子さん一人ひとり違います。
WiRMでは、セレクション対策から進路の相談、いまのやり方への率直な意見まで、LINEでお受けしています。代表の桂陸人が直接お答えします。まとまっていない状態のままで構いません。
登録・ご相談はすべて無料。友だち追加だけでも大丈夫です。