サッカーの1対1で強くなる|攻守で負けない体の使い方・間合い・駆け引き
「1対1になると、すぐに抜かれてしまう」「相手に当たられると、ボールを取られる」。少年サッカーの試合を見ていて、サッカーの1対1に課題を感じている保護者の方は少なくないでしょう。
1対1は、ピッチのあちこちで何度も起こる場面です。攻撃でも守備でも、ここで簡単に負けない選手は、それだけでチームを助けることができます。
この記事で書いていることを、お子さんの状況に当てはめて聞くこともできます。LINEでは代表の桂陸人が直接お答えしています。
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この記事では、攻撃の1対1で相手を抜くコツ、守備の1対1で奪うコツ、攻守に共通する体の使い方と駆け引きを整理します。あわせて、自宅や公園でできる練習と、親の声かけも紹介します。1対1の強さは、体格や足の速さだけで決まるものではありません。
サッカーの1対1は「力比べ」ではない
体が小さくても工夫できる
1対1が苦手なお子さんについて、「体が小さいから仕方ない」と感じることがあるかもしれません。確かに、体格は有利に働くことがあります。しかし、体の使い方、間合いの取り方、駆け引きには、体格とは別の伸ばし方があります。
大切なのは、1対1を力比べではなく、技術と頭を使う勝負として捉えることです。正面からぶつかれば、大きい相手には勝ちにくいでしょう。けれど、相手の重心を見て、間合いを調整し、タイミングをずらすことなら、体の小さい子にもできます。
「負けて当然」から「どうすれば勝てるか」へ。この考え方の切り替えが、上達の出発点です。
1対1の場面は、試合でたくさん起きている
小学生年代の8人制サッカーについて、JFAの資料「8人制サッカーをしよう!」は、11人制と比べて各プレーヤーのプレー回数が大きく増え、ゴール前の攻防も増えると説明しています。
プレーに関わる回数が増えれば、相手と向き合う場面にも出会いやすくなります。小学生のうちから、1対1を「避ける場面」ではなく「経験を積める場面」として捉えておきたいところです。
攻撃の1対1で抜くコツ
緩急で相手の足を止める
攻撃の1対1でいちばんの武器になるのは、緩急です。同じスピードのまま近づくと、相手は対応しやすくなります。スッと減速してから一気に加速すると、相手の足が止まり、その瞬間に前へ出やすくなります。
大切なのは、最高速度よりもスピードの差です。足が速くない子でも、遅い状態を作ってから動き出せば、相手から見た差は大きくなります。一瞬のキレの作り方は、サッカーのアジリティでも解説しています。
相手の重心を見て、逆をつく
相手の体重が右足に乗っていれば、その逆へ行けば抜きやすくなります。フェイントは、この重心を一方向へ動かすための手段です。
たくさんの技を覚えることより、得意なフェイントを一つ磨き、相手の重心が傾いた瞬間に逆をつくことを練習します。相手が動かないのにフェイントを続けても意味はありません。「相手が動いたから、こちらへ行く」という順番を意識すると、フェイントが試合で使えるものになります。
ボールを相手から遠い足で扱う
抜く瞬間は、相手から遠い側の足でボールを扱うのが基本です。相手に近い足で持つと、足を伸ばされて奪われやすくなります。
体を相手とボールの間に入れ、遠い足で運ぶ。この「体でボールを隠す」感覚が身につくと、抜くときだけでなく、ボールを守るときにも役立ちます。ドリブルそのものの練習方法は、サッカーのドリブル練習にまとめています。
抜き切った後の一歩まで考える
相手をかわしても、そのあとボールが足元に止まってしまうと、すぐに戻ってこられます。抜いた瞬間に、前のスペースへボールを運ぶ一歩まで含めて、一つの動きとして練習しましょう。
また、抜くことだけが1対1の正解ではありません。相手を引きつけてパスを出せば、味方が楽になります。「抜くか、出すか」を選べる子は、相手にとって守りにくい選手です。
守備の1対1で奪うコツ
飛び込まず、まず止める
守備の1対1でいちばん大切なのは、慌てて飛び込まないことです。相手に近づくとすぐに足を出す子は多いのですが、簡単に足を出すと、その逆を取られて一度で抜かれてしまいます。
守備の基本は「奪う」の前に「止める」です。相手の前に立って、自由に前へ進ませない。これができるだけで、味方が戻る時間を作れます。
間合いを保つ
守備では距離が重要です。近づきすぎると一気に抜かれ、離れすぎると自由にプレーされます。相手が前を向いてドリブルしてきたら、足が届くか届かないかの距離を保ちながら、一緒に下がります。
相手のスピードが上がるほど、距離は少し広めに取る。相手が止まったら、少し詰める。間合いは一定ではなく、相手に合わせて動かすものです。
片側へ追い込む
間合いを保ちながら、体の向きで相手の進む方向を限定します。真正面に立つのではなく、少し斜めに構えて、行かせたい方を空けておくイメージです。
サイドライン際へ追い込めば、ライン自体が味方のような役割をして、相手の選択肢は減ります。
ボールが離れた瞬間を狙う
奪いにいくのは、相手のタッチが大きくなってボールが足から離れた瞬間です。それまではじっと我慢します。
守備の1対1は、攻撃以上に我慢の勝負です。足を出さずに粘れる子は、目立たなくてもチームから信頼される存在になります。
攻守に共通する体の使い方
低い姿勢を作る
攻守どちらにも共通する土台が、低い姿勢です。膝を軽く曲げ、重心を低く保つと、当たられても崩れにくくなり、方向転換もしやすくなります。棒立ちの状態では、押されたときに弱く、反応も遅れます。
肩を入れてボールを守る
相手と並んで走るときは、肩を相手の前に入れて体を割り込ませると、ボールを守りやすくなります。腕で押すのではなく、体全体で相手との間に壁を作るイメージです。手で押したり引っ張ったりするとファウルになるので、正しいやり方をコーチに確認しながら身につけましょう。
体が小さい子の当たり方は、当たり負けしないサッカーの体づくりでも詳しく解説しています。
駆け引きを楽しむ
わざと隙を見せて相手を誘い、出てきた瞬間に逆をつく。守備なら、片方を空けておいてそこへ誘い込み、奪う。1対1は相手の考えを読む勝負でもあります。
「どうして今のは抜けたのか」「どうして今のは取られたのか」を考えられるようになると、1対1はぐっと面白くなります。
1対1が苦手な子によくある三つのこと
ボールばかり見ている
足元のボールだけを見ていると、相手の重心も、空いている場所も見えません。攻撃でも守備でも、見る相手がボールだけになると、動き出しは遅れます。
攻撃のときは、ボールタッチの合間に顔を上げて相手を見る。守備のときは、相手の足先のフェイントに釣られないよう、ボールと相手の腰のあたりを見る。こうした目の使い方を少し変えるだけでも、反応は変わってきます。
自分の得意な形がない
相手に応じて何でもやろうとすると、迷っている間に寄せられてしまいます。右へ持ち出す、切り返して左へ、といった得意な形を一つ決めておくと、落ち着いて仕掛けやすくなります。
もちろん、それだけでは相手に読まれることもあります。だからこそ、得意な形が読まれたときの二つ目を、少しずつ増やしていけばよいのです。
仕掛ける前に怖がっている
取られるのが怖くて、すぐに味方へ返してしまう子もいます。パスが悪いわけではありませんが、仕掛ける経験がなければ、1対1は上手くなりません。
練習の中では、取られてもいいから挑戦する時間を作りましょう。試合でも、相手のゴールに近い場所なら、失っても次の守備で取り返せる場面があります。チームの指導者の考えに沿いながら、挑戦してよい場面を親子で確認しておくと、一歩踏み出しやすくなります。
自主練と親の関わり方
二人いればできる練習
1対1の練習に、広い場所は必要ありません。5メートル四方ほどの場所に印を置き、親子や友だちと向かい合うだけでも始められます。
攻撃側は緩急をつけて奥のラインを通過する。守備側は足を出さず、ラインを越えさせないように粘る。守備側の親が本気で奪いにいく必要はなく、まずは相手の動きを見ながら動く感覚を身につけることが目的です。
短い時間で区切り、攻守を交代しながら行いましょう。ボールを持ったまま長く続けるより、集中できる回数を繰り返すほうが、動きの質を保てます。
一人でできる練習
相手がいなくても、緩急を入れたドリブルや、低い姿勢のまま方向を変える動きは練習できます。ボールを止める、動かすというタッチのたびに、顔を上げて前を見る習慣もあわせてつけておきましょう。
負けた場面で何を聞くか
試合の後、「なんで抜かれたの」と聞かれると、子どもは責められたように感じます。代わりに、次のように聞いてみてください。
「あの場面、相手はどっちに行きたそうだった?」 「次に同じ場面が来たら、何を変えてみる?」
答えが合っているかどうかは重要ではありません。自分で場面を思い出し、次の工夫を考えること自体が、1対1の駆け引きを磨く練習になります。
まとめ
サッカーの1対1の強さは、体格だけでは決まりません。攻撃では緩急で相手の足を止め、重心の逆をつき、遠い足でボールを扱う。守備では飛び込まず、間合いを保って片側へ追い込み、ボールが離れた瞬間を狙う。攻守に共通する土台は、低い姿勢と肩を入れる体の使い方です。
練習は親子二人でも始められます。勝ち負けを問い詰めるのではなく、「次に何を変えるか」を一緒に考えてあげてください。一つの工夫がうまくいった経験は、お子さんが次の1対1に向かう力になります。負けた場面も、次の工夫を見つける材料です。結果だけでなく、挑戦した回数にも目を向けてあげてください。
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ここまでは一般論です。お子さんのことは、直接お聞きください
記事に書けるのは、どのチームにも当てはまる話までです。実際に何が足りていて何が足りないのかは、お子さん一人ひとり違います。
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