セレクションの緊張対策|緊張しても残せる4つのプレーと、当日の声かけ
「うちの子は緊張すると実力が出せない」。セレクションが近づくと、こうした不安を持つ保護者の方は少なくないと思います。
先に結論を書きます。セレクションの緊張は、なくそうとしなくて構いません。会場にいるほとんどの子が緊張しています。大事なのは緊張するかどうかではなく、緊張していても出せるプレーを持っているかどうかです。
この記事で書いていることを、お子さんの状況に当てはめて聞くこともできます。LINEでは代表の桂陸人が直接お答えしています。
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この記事では、緊張するとどんなプレーが消えやすいのか、逆にどんなプレーなら残せるのか、当日の朝と普段の練習で家庭にできることを整理します。普段の試合で固くなる子については、試合でガチガチになる子への記事で別にまとめています。
セレクションの緊張で、先に消えるもの
消えやすいのは、余裕があるときのプレー
緊張したときに最初に消えやすいのは、技術そのものというより、余裕があるときにしか選べないプレーです。
思い切ったロングパス。逆サイドへの展開。相手の裏を狙う難しい選択。これらは失敗したときのリスクが大きいプレーです。緊張している子は、無意識に安全な選択に寄っていきます。これは人として自然な反応で、気持ちが弱いからではありません。
「落ち着け」は、届きにくい
だから「緊張するな」「落ち着いて」と伝えても、なかなか届きません。緊張している本人に、状態を変えろと言っても難しいからです。
むしろ「緊張してはいけない」と思うことで、「緊張している自分」が気になってしまう子もいます。声をかけるなら、状態についてではなく、やることについて話すほうが、子どもは受け取りやすいはずです。
緊張しても残せる4つのプレー
では、緊張していても出しやすいプレーとは何か。私は次の4つだと考えています。
走ること。寄せること。声を出すこと。切り替えること。
成功か失敗かを、考えなくていい
この4つには共通点があります。パスやドリブルと違って、成功率を気にしなくていいことです。走れば走ったことになります。寄せれば寄せたことになります。うまくいくかどうかを考える前に、体を動かせるプレーです。
緊張すると、頭の中は「失敗したらどうしよう」でいっぱいになります。成功か失敗かを問われないプレーには、その考えが入り込みにくいのです。
相手が誰でもできる
もう一つの共通点は、味方が誰であってもできることです。セレクションでは、初めて会う子と同じチームになることが多くあります。味方の特徴が分からない中で、連係に頼るプレーはどうしても計算しづらくなります。この4つなら、自分だけで始められます。
それぞれを具体的に言うと、次のようになります。
走る: パスを出したあとに止まらない。味方がボールを持ったら、受けられる場所へ動く。
寄せる: ボールを失った近くの選手に、最初の一歩で詰める。奪えなくても、相手の時間を削る。
声を出す: 大きな声でなくていいので、「ナイス」「こっち」「マーク」など短い言葉を一つ出す。
切り替える: ミスをしたら下を向かず、次の守備に入る。
ミスのあとの動きについては、セレクションでミスをした直後の3秒でも詳しく書いています。
見ている側にとっても、この4つは情報になる
ここからは私の解釈ですが、選ぶ側から見ても、この4つは使いやすい情報だと思います。
セレクションの募集人数は多くありません。たとえばFC東京U-15むさしの2027年度セレクションの募集人数は「若干名」です。一方で、会場には大勢の子が集まり、限られた時間の中で見られます。一人に向けられる視線の量は、保護者が想像するより少ないはずです。
その条件で指導者が見られるのは、たまたま来た一度のボールタッチより、繰り返し出ている情報です。ボールに触っていない時間の動き、球際に行く一歩目、ミスのあとの反応。これらはボールが来なくても出続けます。
緊張しても残せるものと、見る側が受け取りやすいものが、かなり重なっている。だからこそ、この4つを持っておく意味があると考えています。もちろん、技術が見られないという話ではありません。セレクション全体で何を準備するかは、セレクションに受かる子の特徴を読んでみてください。
私が受けたセレクションの話
私が小6で受けたサンフレッチェ広島ジュニアユースのセレクションは、1次選考が300人近く、3次選考まで残ったのが30人でした。
人数が多い場では、自分の番がいつ来るか分かりません。うまくやろうと考える前に、自分のやることを決めておく。これは今の子どもたちにも伝えられることだと思っています。
緊張しやすい子の、当日の過ごし方
ここでは、セレクションの緊張を強めないための、当日の動き方を整理します。特別な方法ではありませんが、前もって決めておくだけで違います。
会場には余裕を持って着く
遅れそうになる焦りは、緊張をさらに大きくします。道順や駐車場、受付の時間は前日までに確認し、早めに着くようにしましょう。早く着きすぎて時間が余ったら、親子で普段どおりの話をして過ごします。
アップで「いつもの動き」を一つやる
知らない子ばかりの場所では、自分のペースを失いやすくなります。普段のウォーミングアップでやっている動きを一つ決めておくと、気持ちを落ち着ける目印になります。ボールタッチでも、軽いジャンプでも構いません。
周りの子を見すぎない
上手そうな子や体の大きな子を見て、気持ちが負けてしまうことがあります。周りを見るのは試合が始まってからで十分です。始まる前は、自分のやることを一つだけ思い出すように伝えておきましょう。
最初のプレーを、簡単なものにする
試合形式では、最初のワンプレーで流れをつかめると気持ちが楽になります。最初から難しいことをせず、近くの味方に正確につなぐ、ボールを失ったらすぐ追うなど、簡単なことから入るように決めておくと安心です。
親は、見える場所で見すぎない
ピッチのすぐそばで親が真剣に見ていると、子どもは視線を感じます。見学のルールは会場ごとに違いますが、許される範囲でも、少し離れた場所から静かに見守るくらいがちょうどいいと思います。
当日の朝に渡すのは、一つだけ
アドバイスを増やさない
当日の朝、親としては伝えたいことがいくつも浮かぶものです。ただ、アドバイスを複数渡すと、子どもはピッチの上で自分を採点し始めます。「言われたことができているか」を確かめながらプレーすることになり、かえって緊張を強めてしまうことがあります。
渡すなら、4つのうち一つです。その子が普段からできているものを選んでください。新しい課題は渡さないこと。「今日は切り替えだけ意識しよう」くらいの短さで十分です。
評価ではなく、楽しみにしていることを伝える
そして、もし付け加えるなら、「見てるの楽しみにしてる」のような言葉をおすすめします。
「頑張ってきて」「結果を出そう」も励ましのつもりの言葉ですが、受け取る側には評価の場であることを思い出させる言葉でもあります。親が結果ではなくプレーする姿そのものを楽しみにしている、と伝わるだけで、子どもが背負うものは少し軽くなります。
親自身の緊張も、顔に出る
意外と見落としがちなのが、親の緊張です。車の中が静かすぎたり、持ち物を何度も確認したりすると、子どもはそれを感じ取ります。
いつもの週末の試合と同じ話をする。いつもと同じ朝ごはんを食べる。特別な日にしすぎないことも、親にできる準備の一つです。
本当の準備は、今週の練習にある
この4つを当日だけ出そうとしても、なかなか出ません。普段の練習でやっていないことは、緊張した場面ではもっと出にくくなります。
帰り道の話題を一つ変える
今週、練習の帰りに一度だけ聞いてみてください。「今日、一番走った場面はどこだった?」
ゴールやドリブルの話ではなく、この4つの側を話題にします。家で話題になるものは、子どもの中で優先順位が上がっていきます。
緊張する場面を、少しだけ経験しておく
本番だけが緊張する場になると、その日の負担は大きくなります。知らない子が多い練習会に出てみる、ふだんと違う相手と試合をするなど、少し緊張する場を前もって経験しておくと、「緊張しても、やることはできた」という記憶が残ります。
大事なのは、そこで結果を求めないことです。「緊張したけど走れたね」と言えれば十分です。
緊張していることを、悪いことにしない
「今日緊張してる」と子どもが言ったら、「それだけ大事な日なんだね」と受け止めてください。緊張は、本気で取り組んでいるから出てくるものでもあります。緊張を隠さなくていいと分かるだけで、気持ちが少し落ち着く子もいます。
終わったあとの話し方
セレクションが終わったあとの声かけも、次の緊張に関わります。
帰りの車の中で、すぐに結果や出来を聞くのは控えましょう。「お疲れさま」と伝えて、本人が話し出すのを待ちます。話し始めたら、「緊張したけど、どの場面で動けた?」のように、できたことの話を聞いてください。
うまくいかなかったと本人が言うときも、否定せずに受け止めます。緊張の中でやり切った経験そのものが、次の舞台で支えになるからです。
まとめ
セレクションの緊張はなくすものではなく、ほとんどの子が抱えたままプレーするものです。緊張で先に消えやすいのは、余裕があるときにしか選べないプレーです。
走る、寄せる、声を出す、切り替える。この4つは、緊張していても自分で始められるプレーです。当日の朝に渡すのは一つだけ。そして本当の準備は、今週の練習の中にあります。
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記事に書けるのは、どのチームにも当てはまる話までです。実際に何が足りていて何が足りないのかは、お子さん一人ひとり違います。
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