14歳の久保建英は何が違ったのか|同世代が見た差
「敵が右から寄せてきているんだから、左足に出さないとダメでしょ」。14歳の久保建英が、私に向かって言った言葉だ。
私はその場にいた。年代別の日本代表に選ばれ、同じ合宿で寝起きしていた。久保建英、菅原由勢、中村敬斗、瀬古歩夢、谷晃生。同じ食堂で、同じ部屋で過ごした同世代だ。
「才能が違った」では説明がつかない
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私も選ばれていた。中学1年で背番号10をつけ、高校3年でも10番で、2018年12月には高円宮杯プレミアリーグのチャンピオンシップで鹿島アントラーズユースに2-1で勝って高校年代の日本一になった。そのシーズンは18試合8得点。U-15、U-16、U-18の各代表に呼ばれた。技術の差では説明がつかない。
差は「解像度」だった
ここからは私の解釈。あのときの久保建英について、私はこう思っている。言語化できていない。そこをどうやって詰めるのか。いかに口に出して説明して、要求するのか。世界で活躍するなら、そこまで詰めないとダメなんだという解像度が当時から全然、段違いに異なる。
14歳が、自分の要求を言葉(言語化)にしていた。しかも「左足」と部位まで指定して、理由まで付けて。私はそのとき、なんとなく走って、なんとなく蹴っていた。
菅原由勢のことも覚えている。初招集なのに、なぜか普通にその常連組の中に座っていた。そういう自然体のコミュニケーション能力がものすごく優れていた。14歳の頃からもう理解していたのがスゴいと思う。
向こう側へ行った選手たちに共通していたのは、これだ。目標を定めて、そこから逆算して必要なことを積み上げるという能力が、物処く優れていた。
病気を理由にしない
私は大学1年の夏前に尿路結石から急性腎不全と診断され、約2年リハビリした。大学4年の10月、別室で医師に「プロになるのは、やめた方がいいと思う」と告げられて、2022年12月に引退した。
それでも私は、病気を理由にしない。プロになれなかった本質は、「思考する」という行為を長くサボってきて、それに気づくのが遅すぎたからだ。差は才能でも病気でもなく、ビジョンの差だった。彼らは14歳の時点で、逆算して生きていた。
もちろん、こういう反論があるはずだ
一つ目。「久保建英は特別な例外だろう」。例外だと私も思う。だが私が挙げたのは彼一人ではない。菅原由勢も同じだった。あの合宿で先に進んだ選手たちに共通していたのは、シュートの精度ではなく、自分の意図を言葉にして外に出す量だった。例外が一人なら才能の話だが、複数に共通しているなら、それは構造だ。
二つ目。「小学生に逆算しろというのは酷では」。逆算とは、将来の夢を紙に書かせて追い詰めることではない。「今の一本を、なぜそう蹴ったのか」を自分の言葉にできるかどうか、それだけだ。理由を言えるようになると、次に修正ができる。修正ができると、積み上がる。順番はこれだけで、年齢は関係ない。
悪いのは、誰でもない
保護者が何かを間違えたわけではない。子どもは、練習では「言われた通りにできたか」で評価される場面が圧倒的に多い。問われないものは、育たない。それだけの話だ。私自身、誰にも問われないまま10番をつけて、17歳まで来てしまった。
まとめ
14歳の彼らとの差は、技術ではなく、自分のプレーを言葉にできるかどうかだった。
試合や練習の帰り道に、一つだけ聞いてほしい。「今のプレー、なぜそれを選んだの?」。上手下手を評価しない。答えられなくても構わない。答えられないという事実を、本人が知ることに意味がある。
矢印は子どもではなく、私たち大人に向く。問いを渡さなかったのは、私たちのほうだ。私は、14歳より前に渡せるものがあると思っている。
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