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COLUMN

他の子と比べてしまう日|比較から降りるための考え方

サッカー場のフェンス越しに、母親が一人で子どもたちの試合を見つめている様子

試合を見ていると、どうしても他の子が目に入ります。

比べないでいようと思っても難しい。これは、意志の問題ではありません。



比べてしまう自分を、まず責めない

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比べてしまったあとに、「親として良くない」と自分を責める方は少なくありません。

けれど、比べてしまうのは、それだけ子どものことを真剣に見ている証拠でもあります。関心がなければ、そもそも他の子と並べて見ることもありません。

問題は、比べる気持ちが湧くことではなく、その気持ちのまま判断したり、言葉にしたりすることです。この記事では、気持ちを消す方法ではなく、比較から一歩降りるための考え方を整理します。



比較は、情報が少ないときに起きる

人は、判断の基準がないときに周りを見ます。

うちの子が伸びているのかどうか。この問いに自分なりの答えを持っていないとき、他の子との比較が唯一の指標になります。

だから、比較をやめようとするより、別の指標を持つほうが早い。



試合の日は、比較の材料が集まりすぎる

比べてしまう日が試合の日に集中するのには、理由があります。

試合は、同じ年代の子が同じピッチに並び、出場時間、ゴール、ポジション、交代のタイミングといった、目に見える違いが一度に並ぶ場です。練習の積み重ねや家での様子は見えないのに、目に見える違いだけははっきり見える。比べる材料がそろいすぎているのです。

しかも、保護者が見ているのは一試合のうちの一部です。ボールのあるところに目が行き、ボールのないところで何をしていたかは見えにくい。ポジションが違えば求められる役割も違います。

試合の日に感じた差は、その日のその場面の差である可能性がある。そう分かっているだけで、帰りの車の中の空気は少し変わります。



自分の子の中での変化を見る

具体的な提案をします。

半年前のこの子と、今のこの子を比べてください。変わったことを一つ探す。

プレーでも、態度でも、話す内容でも構いません。この作業をやると、他の子との比較が相対的に小さくなります。



変化は、書き残しておくと見つけやすい

半年前の様子を正確に思い出すのは、意外と難しいものです。記憶は、最近の印象の強い場面に引っ張られます。

そこで、月に一度で構わないので、短いメモを残しておくことをおすすめします。書くのは三つほどで十分です。

– 最近、できるようになったこと – 最近、本人がよく話していること – 練習や試合に向かうときの様子

評価や点数をつける必要はありません。見たことをそのまま書くだけです。

半年たってメモを見返すと、「この頃はこれができなかった」「この頃はこんなことを気にしていた」という変化が、記録として残っています。他の子との比較に引っ張られそうになったとき、戻ってくる場所になります。



比べる気持ちが強くなる時期がある

比べてしまう気持ちは、一年中同じ強さではありません。強くなりやすい時期があります。

たとえば、チームの中で試合に出るメンバーが決まるとき。選抜や上のカテゴリーへの声がかかる子が出てきたとき。進路を考え始め、セレクションの話題が周りで増えてくるとき。こうした時期は、子どもどうしの違いが「選ばれた・選ばれなかった」という分かりやすい形で表に出ます。

分かりやすい形で差が見えると、それが子どもの全体の評価であるかのように感じてしまいます。けれど実際には、その時点、その基準での一つの判断です。基準が変われば、結果も変わります。

自分の気持ちが揺れやすい時期を知っておくと、「今は比べやすい時期に入っている」と一歩引いて見ることができます。揺れること自体を止めるのではなく、揺れている自分に気づけるようにしておく。それだけでも、言葉や態度に出る前に立ち止まりやすくなります。



親自身が、比べられているように感じるとき

比較の対象は、子どもだけとは限りません。

他の家庭が熱心にサポートしている様子を見ると、うちはこれで足りているのだろうか、と親としての自分を比べてしまうことがあります。送迎の頻度、練習以外の取り組み、かけている時間やお金。他の家庭の様子は、子どもの様子以上に目に入りやすいものです。

ただ、家庭ごとに事情は違います。仕事の状況も、きょうだいの有無も、住んでいる場所も違う。同じことを同じ量だけやることが、どの家庭にとっても正解になるわけではありません。

親が他の家庭と自分を比べて焦ると、その焦りは子どもへの関わり方に表れやすくなります。「もっと何かさせなければ」という気持ちが、子どもにとっての負担に変わることもあります。家庭の比較からも、一度降りてみることをおすすめします。



成長の時期は、子どもで違う

中学年代の差は、体の成長の時期の差である場合があります。

早く大きくなった子が有利に見える時期と、その差が縮まってくる時期がある。この時期差を能力の差として読むと、判断を間違えます。

なお、成長や体格に関する具体的な心配は、医師などの専門家に相談してください。



子どもの前で、口にしない

ここからは私の考えです。

心の中で比較することは、止められません。でも、口にするかどうかは選べます。

「あの子はできてるのに」は、子どもには他人との比較としてしか届きません。他人を基準にした瞬間、自分のプレーへの集中はとぎれます。

ここは、大人側で完全にコントロールできる部分です。



保護者どうしの会話で、比較に巻き込まれたら

比較は、自分の頭の中だけで起きるわけではありません。応援席や送迎の待ち時間など、保護者どうしの会話の中で、誰がどのチームに選ばれた、誰が試合に出ている、といった話題が出ることもあります。

こうした会話を避け続けるのは現実的ではありません。ただ、聞いた話をそのまま家に持ち帰らないことはできます。

家に帰ってから子どもに伝えるかどうかを、一度だけ立ち止まって考える。その話を聞いた子どもが、自分のプレーに集中しやすくなるのか、それとも他の子を基準に考え始めるのか。後者になりそうなら、その話は大人の側で止めておく。これも、大人側で選べることの一つです。



子ども自身が比べているときは

子どもの方から「あいつはうまいのに、自分は」と口にすることもあります。

そのときに、慌てて「そんなことないよ」と打ち消したり、「あの子はあの子」と話を終わらせたりしたくなるかもしれません。けれど、まずは子どもが何を見てそう感じたのかを聞くほうが、次につながります。

本人が「あの子のここがすごい」と言葉にできているなら、それは自分に足りないものを具体的に見ている状態でもあります。そこから「じゃあ、半年前の自分と比べるとどう?」と、視点を本人の変化に戻していく。親が持っている別の指標を、子どもにも渡していくイメージです。



比較から降りることは、目標を下げることではない

ここまで読むと、「他の子と比べないなら、上を目指さなくていいということか」と感じる方もいるかもしれません。そうではありません。

上のチームに入りたい、試合に出たい、という目標を持つことと、他の子を基準にして一喜一憂することは別のものです。目標は、子ども自身がどこに向かうかを示すものです。比較は、隣にいる誰かとの位置関係を示すだけです。

隣の子との位置関係は、相手の成長や調子によっても変わります。自分ではどうにもできない要素で、気持ちが上下することになります。一方で、目標に対して自分が何を積み上げたかは、本人と家庭が見ていくことができます。

比較から降りるというのは、見る方向を隣から前に変えることです。目標はそのまま持っていて構いません。



先の話も、一度見ておく

Jリーグ公式が公表した2019年の新人研修参加選手182名の内訳は、大学出身95人(52.2%)、Jクラブアカデミー出身56人(30.8%)、高校出身24人(13.2%)でした(出典:Jリーグ公式サイト「今年はどのチームからプロ選手が生まれたのか?Jリーグ新人研修に参加した選手の出身チームをぜんぶ見てみました。」2019年2月9日 https://www.jleague.jp/news/article/14061/ )。

小学生や中学生の段階の序列は、この先と直接つながっていません。



まとめ

比較は、別の指標を持っていないときに起きます。半年前のこの子と比べるという指標を持つこと。変化は月に一度のメモで残しておくと、見つけやすくなります。

試合の日に感じた差は、その日のその場面の差かもしれません。そして、心の中で比べるのは仕方がないとしても、子どもの前で口にしないことです。


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