セレクションに落ちた理由を、指導者にどう聞くか|聞き方で返答は変わる
不合格のあと、多くの家庭が同じところで止まります。理由を聞きたい。でも、聞いていいのか分からない。
この記事では、誰に、いつ、どう聞くかを整理します。聞き方を変えるだけで、返ってくるものは変わります。
「なぜ落としたのか」は、聞き方として失敗する
この記事で書いていることを、お子さんの状況に当てはめて聞くこともできます。LINEでは代表の桂陸人が直接お答えしています。
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まず、やめたほうがいい聞き方から。
「なぜ落としたんですか」は、評価への異議申し立てになります。聞かれた側は、判断を守る体勢に入ります。すると、当たり障りのない回答しか返ってこない。
一方、「次に何を伸ばせばいいですか」は、指導の依頼になります。同じ場面で、後者を断る指導者を、私は知りません。むしろ、落選後に自分から聞きに来た選手のことを、指導者は覚えています。
聞く相手は、クラブとは限らない
現実的な話をします。セレクションを実施したJクラブ側に、個別のフィードバックを求めても、返答があるとは限りません。
柏レイソルU-15の1次は「ゲーム形式(GK含む)」で60〜75分。サンフレッチェ広島ジュニアユースの1次は8人制ゲームとGK専門テスト、50m走。この規模で、全員分の個別評価を文書化する体制は、現実的ではありません。
だから、聞くべき相手はもっと近くにいます。現在の所属チームの指導者です。その子を一年中見ていて、しかも他の子と比べられる位置にいます。
聞くのは、親ではなく本人
ここが一番大事なところです。
親が代わりに聞きに行った瞬間、その情報は子どもの中に残りません。親が聞いて、親が要約して、子どもに伝える。この流れをたどると、子どもにとっては「親からのダメ出し」に変換されます。
家庭の役割は、代弁ではなく準備です。やることは3つだけ。質問を一文に絞って一緒に決める。声に出して1回練習させる。返ってきた答えをその日のうちに紙に書かせる。
質問を一文に絞る
3つのうち、いちばん時間をかけてほしいのが最初の「一文に絞る」です。
子どもに任せると、質問はたいてい大きくなります。「僕は何がダメでしたか」。これでは、指導者も何から話せばいいか迷います。返ってくるのは「全体的にもう少し」という言葉になりがちです。
質問は、小さく具体的にするほど、答えも具体的になります。たとえば、こういう形です。
– 「次のセレクションまでに、一つだけ伸ばすなら何ですか」 – 「試合の中で、自分がいちばん損をしている場面はどこですか」 – 「今の練習に、一つ足すとしたら何ですか」
どれも「次」と「一つ」が入っています。過去の評価ではなく、これからの行動を聞いている。この形にしておけば、指導者は答えやすく、子どもは持ち帰りやすくなります。
質問を決めるのは、親ではなく本人です。親は候補を出すところまで。最後にどれにするかは、本人に選ばせてください。自分で選んだ質問は、自分で聞きに行けます。
いつ聞くのか
不合格の翌日に、とは言いません。感情の処理を先にやろうとしなくていいですが、本人が口を開けない状態では、質問を決める作業自体ができません。
目安は、本人が自分からサッカーの話をしたときです。そこから、「今度コーチに一つだけ聞いてみない?」と提案する。強制しないこと。聞きに行くこと自体が、自発力の練習です。
ただ、待ちすぎも良くない。不合格や落選は、それ自体では何も決めません。決まるのは、その次の1週間です。理由を一つ持ち帰って練習内容を変えた子と、悔しさだけを持ち帰った子は、半年後には別の場所にいます。
聞く場面も選んでください。練習の直前は、指導者が準備で手一杯です。練習が終わって、片付けが一段落したタイミングのほうが、落ち着いて話を聞いてもらえます。
返ってきた答えを、練習に変える
答えをもらって終わりにすると、聞きに行った意味が半分になります。
その日のうちに紙に書かせたら、次は一緒に一つだけ考えてください。「それを伸ばすために、明日から何を変える?」。
答えが「首を振る回数」なら、練習でボールを受ける前に必ず一回見る。答えが「切り替えの速さ」なら、取られたら3秒以内に追いかけると決める。指導者の言葉を、自分の行動に置き換える作業です。
そして、しばらくしたらもう一度、同じ指導者に聞きに行かせてください。「前に言われたことを意識しているんですが、どうですか」。一度目の質問は情報を取るためのものですが、二度目の質問は、自分が変わろうとしていることを伝えるものになります。
答えが抽象的だったときも、同じです。「もっと積極的に」と言われたら、本人がもう一歩だけ踏み込んで聞く。「積極的というのは、どの場面のことですか」。これも、事前に声に出して練習しておくと言えるようになります。
書いた紙は、次のセレクションの前に読み返す
答えを書いた紙は、捨てずに残しておいてください。サッカーノートがあるなら、そこに貼っておく。なければ、一冊用意するところからで構いません。
この紙がいちばん役に立つのは、次のセレクションの前です。前回、何を言われたのか。そこから何を変えたのか。今はどうなっているのか。読み返すと、本人の中で「前回からここまで来た」という線がつながります。
この線があると、次のセレクションの意味が変わります。ただ受けに行くのではなく、前回の課題がどこまで良くなったかを確かめに行く場になる。結果がどうであっても、持ち帰るものがはっきりします。
逆に、紙が残っていないと、毎回のセレクションが点のままです。受けて、落ちて、悔しくて、忘れる。同じことを繰り返していても、本人の中に積み上がるものがありません。
親が指導者と話すなら、何を話すか
親が指導者と話してはいけない、という意味ではありません。話す内容を分けてほしい、ということです。
親が話していいのは、事実の共有です。「先日のセレクションは残念な結果でした。本人が一度、課題を聞きに伺うと思います」。これだけ伝えておくと、指導者も準備ができます。子どもが急に来て戸惑う、ということも減ります。
一方で、親が評価の中身に踏み込むのは避けてください。「うちの子はどこが足りなかったと思いますか」「あの選考はおかしくないですか」。こうした話を親から持ち込むと、指導者は親の感情に対応することになり、子どもに向けた具体的な話がしにくくなります。
役割を分けると、こうなります。親は、場を整える。本人は、中身を聞く。
聞きに行きにくい関係のとき
所属チームの指導者と、もともと話しにくい関係のこともあります。試合に出る時間が少ない、普段あまり声をかけてもらえない。そういう子ほど、聞きに行くのをためらいます。
でも、そういう子ほど、一度聞きに行く価値があります。普段話す機会が少ないなら、なおさら、自分から来たという事実が指導者に残ります。
どうしても難しい場合は、相手を変えても構いません。スクールのコーチ、学年の担当コーチ、以前に教わったことのある指導者。大事なのは、その子のプレーを実際に見たことがある人に聞くことです。見ていない人の意見は、どれだけ丁寧でも一般論になります。
答えを、家族で評価しない
本人が答えを持ち帰ってきたとき、親がやってしまいがちなのが、その答えへの論評です。「やっぱりそうだと思った」「それはコーチの見方が違うんじゃない」。
どちらも、本人が持ち帰ったものの価値を下げます。前者は「親は最初から分かっていた」という意味になり、後者は「聞きに行った意味がなかった」という意味になります。
持ち帰った答えには、まず「聞きに行けたね」と、行動のほうに声をかけてください。中身をどう使うかは、そのあと本人と一緒に考えれば十分です。兄弟やチームメイトと比べる話も、この場では出さないでください。
「子どもに聞きに行かせるのは酷ではないか」
この反論は、もっともです。だから、こう考えています。
酷なのは、聞きに行くことではありません。理由が分からないまま「自分には才能がない」と結論づけさせることのほうが、はるかに酷です。子どもは説明がないと、必ず自分の人格に原因を求めます。
「シュートの精度」という課題は改善できますが、「才能がない」は改善できません。理由を聞くのは、子どもを守る行為です。
私自身は、高3でトップ昇格を「保留」とされたとき、聞きに行きませんでした。プライドが邪魔をして、思考を止めた。そして自分から断りました。差がついたのは保留された事実ではなく、その直後に聞きに行ったか行かなかったかです。
まとめ
落ちた理由を聞くなら、「なぜ落としたのか」ではなく「次に何を伸ばせばいいか」。前者は異議申し立て、後者は指導の依頼になります。
聞く相手は、当日のクラブよりも現在の所属チームの指導者。そして聞くのは、親ではなく本人。家庭は、質問を一文に絞る・声に出して練習する・答えを紙に書くの3つを手伝ってください。質問には「次」と「一つ」を入れ、もらった答えは明日からの行動に置き換える。しばらくしたら、もう一度聞きに行く。そこまでが、聞き方です。
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ここまでは一般論です。お子さんのことは、直接お聞きください
記事に書けるのは、どのチームにも当てはまる話までです。実際に何が足りていて何が足りないのかは、お子さん一人ひとり違います。
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