セレクションで声を出すのは有効なのか|評価される声とは
「セレクションでは声を出せ」。このアドバイスはよく語られます。そして、半分正しく、半分危うい。
当日だけ声を張り上げた子は、目立ちます。ただし、良い意味でとは限りません。この記事では、評価につながる声と、そうでない声の違いを整理します。
声は、緊張しても消えないものの一つ
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まず、声を出すこと自体の価値からです。
セレクションでは全員が緊張しています。緊張して消えるのは、技術ではなく、余裕があるときにしか出ないプレーのほうです。走る、寄せる、声を出す、切り替える。この4つは緊張しても消えません。
だから、声は有効です。条件に左右されないし、相手にも依存しない。問題は、何を叫ぶかです。
評価につながらない声
ここからは、公表された基準のない領域なので、私の解釈です。
一つ目は、内容のない声です。「ナイスプレー」「ドンマイ」「いこう」。悪くはないですが、これだけを繰り返していても、情報量はゼロです。そして、当日だけ頑張って声を出している子は、不思議と周りに伝わります。
二つ目は、自分にボールを呼ぶだけの声です。「ヘイ」「ここ」だけを連呼する。自分の得点のためだけに声を使っていると、初対面の味方は逆に出しにくくなります。
三つ目は、味方へのダメ出しです。これは、当日一番リスクが高い。初対面の中で他人を責める子は、技術以前の部分で印象を落とします。
評価につながる声
逆に、短時間でも価値が伝わる声があります。理由が付いている声です。
私は14歳のとき、年代別代表で一緒だった久保建英にこう言われました。「敵が右から寄せてきているんだから、左足に出さないとダメでしょ」。
これはダメ出しに見えて、構造が違います。事実(敵が右から寄せている)と、そこから導かれる行動(左足)がセットになっている。言われた側は、次のプレーですぐ使えます。
14歳です。彼は当時から、自分のプレーにも他人のプレーにも根拠を持っていて、それを言葉にして要求できました。私はそれができていませんでした。あのとき差がついていたのは、技術ではなく解像度です。
家庭での練習は、声量ではなく中身
「もっと声を出しなさい」と言うと、子どもは音量を上げます。中身は変わりません。
代わりに、試合の帰りに一つ聞いてみてください。「今日、味方に何を伝えた?」。「ナイスプレーって言った」でもいい。そこから、「他に伝えられそうなことあった?」と続ける。
この問いを繰り返していると、子どもはプレー中に「伝えられることはないか」を探すようになります。探すためには見なければならない、見るためには首を振らなければならない。声の話が、自然に視野の話につながります。
まとめ
セレクションで声は有効です。緊張しても消えないし、相手にも依存しないからです。ただし、内容のない声と、自分に呼ぶだけの声と、味方へのダメ出しは、逆効果になります。
価値が伝わるのは、事実と行動がセットになった声です。家では「もっと声を出せ」ではなく、「今日、味方に何を伝えた?」と聞いてみてください。
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