当たり負けしないサッカーの体づくり|体が小さくても競り負けない体の使い方
「体格で負けてるから仕方ないですよね」。試合のあと、相手にぶつかられて転がされる我が子を見ながら、半分あきらめたようにそうつぶやく保護者の方に出会うことがあります。確かに、同じ学年でも体の大きさには差があります。早く育つ子もいれば、これから伸びる子もいる。けれど「体が小さい=当たり負けする」と決めつけてしまうのは、少しもったいないことです。なぜなら、当たりの強さは体格だけで決まるものではないからです。
この記事では、体が小さくても競り負けないために何ができるのかを、体の「使い方」と「育て方」の両面からお伝えします。プロの世界にも、小柄ながら屈強な相手を弾き飛ばす選手はたくさんいます。彼らに共通するのは、力任せではない、理にかなった体の使い方です。その考え方を、ジュニア期の子どもにも分かるかたちでひも解いていきます。
「当たり負け」は体格だけで決まらない
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まず大前提として、当たりの強さは体重や身長だけで決まるわけではありません。実際、同じくらいの体格でも競り合いに強い子と弱い子がいます。その差を生んでいるのは、主に三つの要素です。「重心の低さ」「体の当て方」「タイミング」。この三つは、体が小さくても工夫と練習で十分に磨けるものです。
物理的に考えてみると、人が押されて倒れるのは、重心が支える足の範囲から外れたときです。逆に言えば、重心が低く安定していて、相手の力を上手に受け流せれば、たとえ相手のほうが大きくても簡単には倒れません。相撲の力士が、必ずしも相手より大きくなくても押し勝てるのは、まさにこの原理を体で理解しているからです。
つまり「体が小さいから当たり負けする」のではなく、「体の使い方を知らないから当たり負けする」場合がとても多いのです。この事実を子ども自身が知るだけでも、競り合いへの恐怖心はずいぶん和らぎます。
競り負けない体の使い方
重心を低く保つ
当たり負けしない体の使い方で、最も基本になるのが「重心を低く保つ」ことです。膝を軽く曲げ、お尻を少し落とし、上体を相手側にわずかに被せる。この姿勢を取れているかどうかで、競り合いの結果は大きく変わります。棒立ちでぶつかれば簡単に倒れますが、低く構えていれば相手の力を受け止めやすくなります。
練習では、ボールに向かって走るときも、止まるときも、つねに膝が伸びきらないよう意識させると良いでしょう。「いつでもしゃがめる姿勢」をキープするイメージです。
体を相手に「先に」当てる
もうひとつ重要なのが、相手より先に体を当てておくことです。ボールだけを見て突っ込むと、相手に横から体を入れられて簡単に弾かれます。そうではなく、肩や背中、お尻を使って相手との間に自分の体を入れ込み、相手をブロックしながらボールに向かう。この「体を先に入れる」感覚が身につくと、体格差はぐっと埋まります。
腕と半身の使い方
ファウルにならない範囲で腕を広げて自分のスペースを確保したり、相手に対して真正面ではなく半身(体を斜めに向けた状態)で構えたりすることも、競り合いを有利にします。半身になると相手から見て当たる面積が減り、なおかつボールを体の遠い側で守れるため、奪われにくくなります。
小さくても勝てる選手から学ぶ
サッカーの歴史を振り返ると、決して大柄ではないのに世界の舞台で活躍した選手は数多くいます。彼らに共通しているのは、ぶつかり合いを正面から力で受けるのではなく、低い重心と巧みなステップで相手の力をいなし、当たる瞬間を自分でコントロールしていることです。一般に、こうした選手は「相手に当たられる」のではなく「自分から当たりにいく」とよく言われます。
ここから学べる大切な教訓は、当たりの強さは生まれ持った体格ではなく、後から身につけられる「技術」だということです。子どもには「大きくないから無理」ではなく、「使い方を覚えれば勝てる」と伝えてあげてください。その一言が、競り合いから逃げない気持ちを育てます。
もちろん、プロの動きをそのまま真似する必要はありません。大切なのは考え方です。力ではなく工夫で勝つ。その発想を持てる子は、体が大きくなる将来まで含めて、ずっと強くなっていきます。
体づくりは「ぶつかる練習」より「支える力」から
当たり負けを克服しようとすると、つい激しいぶつかり合いの練習をさせたくなります。けれど成長期の体に、いきなり強い接触を繰り返させるのはおすすめできません。まず優先したいのは、前の体幹の話ともつながりますが、「自分の体を支える力」を育てることです。支える力があってこそ、相手の力を受け止められるからです。
具体的には、片足でバランスを取る、低い姿勢をキープする、軽く押されてもこらえる、といった負荷の小さい遊びから始めるのが安全です。そのうえで、慣れてきたら親子で軽く肩を押し合う、背中合わせで押し合うといった、強さを調整できる接触遊びを少しずつ取り入れていくと良いでしょう。
そして忘れてはいけないのが、栄養と休養です。体づくりはトレーニングだけでは完成しません。しっかり食べて、しっかり眠ることで体は育ちます。この点は別の記事で詳しく触れますが、当たり負けしない体は、毎日の生活の積み重ねの上にできあがるということを覚えておいてください。
まとめ
当たり負けは、体格だけで決まるものではありません。重心を低く保つ、体を先に当てる、半身で構える。こうした体の使い方を覚えるだけで、小さな体でも十分に競り合えるようになります。実際、世界には小柄でも当たりに強い選手がたくさんいて、その秘密は力ではなく工夫にあります。
保護者にできるのは、「小さいから仕方ない」とあきらめさせないことです。使い方は技術であり、技術は練習で伸びる。その前提で、支える力を育て、栄養と休養を整えながら、無理のない範囲で接触に慣れさせていく。焦らず積み重ねれば、競り合いから逃げない、たくましい体と心が育っていきます。
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